FC2ブログ

*All archives* |  *Admin*

2010/04
<<03  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  05>>
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
100歳を迎えたソプラノMagda Olivero(マグダ オリヴェーロ)とひどい歌で有名な謎の日本人歌手
月~金曜のお昼1時から45分間、私の楽しみにしているイタリア国営ラジオ放送Rai3(ライ トレ)に「La Barcaccia(ラ バルカッチャ)」という番組があり(以下、バルカッチャ)、オペラを中心に声楽に関するあらゆる情報を発信しています。
 日本ではクラッシック音楽の放送というと、テレビでもラジオでもいわゆるお手本的な作品が放送され、評論家がコメントするときも褒めることが多く、当たり障りのない番組構成になっています。ところが、この番組のすごいところは二人の辛口オペラ評論家ミケーレとエンリーコによって生放送で進行され、本人たちも「マイクロスコープで批評する」と言っているように、同じ曲をそれぞれの有名歌手がどのように歌っているかを分析し、上手い時には絶賛し、素直に感動を表現。いまいちの時には「ここの高音がこのようにダメだ。」、「楽譜には書いてないことをやったぞ。」などとコメントし、ひどい時にはどんな有名人であっても酷評するのです。ただ、リスナーが「さっきの歌手の○○が良くなかったと思う。」と批評的なコメントをすると、「みんな厳しいなぁ。。。僕たちはマイクロスコープであら捜ししてるけど、みなさんはもっと音楽を楽しんでよ。」などと促したりもします。

この二人のコメントが正直で面白いのと、同じ曲を聴き比べたりする分かりやすい手法と解説がリスナーに受けてか、今年で25年を迎えるご長寿番組で、一般リスナーのみならず、現役歌手、引退歌手にも非常に恐れられています。

さて、3月の終わり、20世紀の偉大なソプラノ歌手マグダ オリヴェーロが100歳を向かえ、その記念にスタジオにゲストとして呼ばれました。これまでの歌手人生について、100歳とは思えぬはつらつとした口調とユーモアで、45分間休むことなく語られ、若い頃に受けたオーディションでは、当時、大変な権力のあった審査員の一人から「こんな才能のない歌を聴いたところで時間の無駄だ。」と言われたが、一緒に聴いていた他の審査員の一人から「才能はありそうだが、きっと勉強の仕方がなってないだけだと思うから、僕は彼女に賭けてみたい。」と言われ、それまで師事していた先生を代え、歌も声も大きく成長し、その後のキャリアにつながったという話もありました。
もちろん、舞台からはすでに引退しており、彼女が人前で歌うことはないと思っていたのですが、番組の途中で、昨年、99歳を迎えた折りに、とある財団で記念に歌った時の録音が流され、驚きました。

 「Datemi pace(私に平和を)」というタイトルのこの曲は1分ほどの短い曲なのですが、そこには彼女の歌手としての人生がいっぱい詰まっていて、聴いているうちに自然に涙が溢れてきたのです。本当に気持ちの詰まった、温かな歌でした。同じ年齢の人からすれば、自分の足で立って歩いているだけでも素晴らしいことなのに、年と共に衰える音程もリズムもほぼ正確で、声には張りがあり、歌詞も暗記していました。これにひどく感銘を受けたので、もう一度、聴きたいと思い、インターネットで調べてみたら、なんとなんと映像付きでありましたので、みなさんにもご紹介したいと思います!

99歳のマグダ オリヴェーロが歌っている映像 → http://www.youtube.com/watch?v=0qQqsyPPRhM

どうですか?99歳ですよ。ちなみに、歌う前にお話をなさっていますが、これを歌おうと思ったきっかけについてで、3日間、夢でこれを歌いなさいという声を聴いたからだそうです。そして、「なるようにしかならないでしょうけど、今の精一杯を、心を込めて歌います。」とも言っています。

このマグダの歌を聴いて、ふと謎の日本人バリトンのことが頭を過ぎりました。
同じ歌手でもこうも違うものかと。。。

バルカッチャでは有名歌手に交じって、時々、この謎の日本人歌手(いつも同じ人物)の歌声が披露されるのですが、初めて聴いた時、私は笑いが止まらず、文字通り!椅子から転げ落ちました。

ひ、ひどい? ひどいなんてもんじゃない。

 声は不規則なビヴラートがかかり、音程は滅茶苦茶、イタリア語で歌っても、ドイツ語で歌っても発音はあいまい。リズムも、表現も自分の好きなように勝手に歌っている様子。何一つ良いところがないのです。
 
 初めて聴いた時、「これはわざと?」と思いましたが、曲の終わり方などを聴いていると、どうやらご本人はご満悦のよう。引退なさってから勉強をお止めになったのか、過去の功績にかまけて努力を怠ってしまったのか、はたまたご病気なのか(ご病気なら笑えません)。いろんな謎が湧いてきます。とにかく、99歳まで訓練を怠らずに勉強を続けてきたマグダの歌とは全く違うのです。

 通常、番組内では曲が流される前か後に歌手名が紹介されるのですが、ミケーレもエンリーコもこのバリトンの歌が流される時はコメントすらせず、どちらかと言うとあきれた様子。今のところ、名前も伏せられています。
が、、、唯一の情報として発表されたのが、なんと「この人、東京の某音楽大学の教授(または元教授)で、過去にLPとCD80枚も出してるって。」ということでした。
 
 ただの愛好家じゃなかったなんて、ますます驚きです。一体、どなたなのでしょう?
 私の頭の中には「この人かな?」という推定はあるのですが、若い日の録音を聴くと、似ても似つかないので、「やはり別人かも。。。」と思ったり。
 まあ、どんなに下手だったとしても歌を歌うのは自由ですが、イタリアの国営放送で録音が「こんな風」に流されていること、ご本人は承知なのでしょうか・・・?
 
 初めて聴いた時は思わず笑ってしまいましたが、日本人の私にとっては複雑な心境です。
 ちなみに日本人で私が聴いている間に名前が上がり、録音が流されたのは、ソプラノ林康子さんのミラノ スカラ座での「愛の妙薬」の一節で、こちらは絶賛されていました。だから、国籍でもないんですよね、歌の良し悪しは。

 確かに年齢を重ねると人生経験と共に深くなる「歌」ですが、人様の前で歌うことを考えるなら、過去の栄光に感けることなく、やはり一生、真摯に取り組んでいきたいものだと自分自身に重ね合わせた45分でした。
スポンサーサイト
プロフィール

ソプラノ歌手 ゆう子

Author:ソプラノ歌手 ゆう子
音楽活動やイタリアでの暮らし、各地への旅の思い出を綴ります。が、更新は時々ですので、みなさんも時々訪れてみてください。

ブログ初心者で「知らないうちにページが出来上がった」ようなスタートですので、不具合も多めに見てください。
尚、コメントは管理者の承認制を使用しているため、すぐには記載されません。ごめんなさい。

お知らせ:
・拍手後に公開でコメントを書いてくれた方へのお礼コメントは書いた記事に再度拍手していただくとご覧になれます。(非公開の方にはシステム上、こちらから返事が書けませんのでご了承ください)

リンク
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。